脱液機とは、ドライクリーニングをした後、全自動で絞らずに専用の機械で絞る機械のことです。
ん?なんか書き方おかしい?
まあ、家庭用二層式洗濯機のドライクリーニング版ですね(^^)
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僕より年配の方は、水洗機がオープンワッシャーの時代で遠心脱水機があった世代ではないでしょうか?
前掛けをして、長靴履いて、ボトボトのシーツやカッターシャツをオープンワッシャーの中から遠心脱水機に入れる作業は若かったからできた重労働ですよね。
 
ドライ機のほとんどが全自動で絞りまでします。
脱液機を使うと、工程が増えるじゃん!?
って思った方は多いんじゃないでしょうか?
僕も思いましたよ!
ところがですね、違うんですよね。

と、その前に脱液機の回転数ってご存知ですか?
1250回転です。1分間に!
僕が、この脱液機を入れる前、ドライ機を買い替えています。
それが東静電気ので、確か一番高速で880回転だったと思います。(他メーカーは850回転くらいだった)
なぜか、この時トヨタ式の”ト”の字も知らない時だったのに、ドライ機は絞りが大事だと決めていたんですよね。
でも、この時はまだ、遠心脱液機が1250回転もあるなんて知りませんでしたし、存在自体知りませんでした(笑)この話は後に繋がりますよ(^^)
回転数が早いと何が違うのか?
①乾燥スピードです!当然ですよね。
②汚れまでも吹き飛ばす!!まあ、別の言い方をすると汚れた溶剤が残留しないということになります。
で、僕がトヨタ式に出会って、神栄機械製作所の伊藤社長に可愛がっていただき色んなお話を聞かせてもらった中にこの話が出てくるんです。
実は、マークⅡのパテントを東静が使っていた時期があるんです。
その時の話ですが、
伊藤社長
「今時の若い奴らは何も知らん!全部資料を渡してるのにここはどうするんですかとか、何とかしょっ中聞きにきよる。挙句にうちのドライ機の脱液は高速回転だから脱液機は別にしないでそのまま絞ると言いよる」
「勝手にしたらええ、絡まったまんま高速で絞ったらどうなる?シワだらけになるわな( ̄ー ̄)ニヤリッ
そうなんです、逆に言うと絞り方でシワが伸びるんです。
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③シワが伸びる。
こういう風にざっくりとたたんで入れて絞ることにより余計なシワになりません。
全自動ではまさかこんな風にはできませんよね。
これが、脱液機の3つの効果です。

では、工程が増えるということは?面倒臭い?
いや、ここは「工程分解」と考えるのです。
これには小ロットの考え方が伴います。
元々、製造業でもないですから、大量生産による”見かけ”のコストダウンなどあり得ません。
※製造業でも大量生産によるコストダウンはないはずです。コストが下がったように見えているにすぎません。
ロットは小さく、小さく、すなわち1着でお手入れするのが理想です。
だって、同じ状態のお洋服はないですからね。
まあ、この辺りの話は別テーマで。
簡単に書いちゃうと、「洗っている間に絞れるやん!」「絞ってる間に洗えるやん!」てことです。
トヨタ式でいうならば、「清流の如く」ですね。
工程のどこかで滞ると流れができない。
洗いから絞りまでを1工程でしてしまうと、そこだけで時間を取ってしまうわけです。
単純に
1着の洋服を仕上げるのにかかる時間が5分とします。
全自動で10分かかるなら2着入れないと待ち時間が出ます。
工程を洗い・絞りに分けて5分ずつなら、1着ずつ洗って1着ずつ絞って1着ずつ仕上げる。
結果の時間はこの場合、同じですね。
さて、どこに違いが出るのでしょう?
考えてみてくださいね。
でも、設備が全自動しかない場合、10分かかるなら2着入れるっていうのは大正解なんですよ。
でもね、ロットは小さく!これ大事です。

サイクルタイムという言葉を一度調べてみてはいかがだろうか?
今回のヒントが隠れていると思います。
ってたいそうに書いてますが、”こと”は単純です。


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